《2015年》

 2年に一度巡ってくる万葉会、国立能楽堂で素人の私達が晴れがましくも舞台に立てる唯一の機会なので、恐れつつも楽しみにしています。又、その時に他のお稽古場で長く続けていらっしゃる方々にお会いできるのも楽しみで、近頃は、私も含めて皆さん良い加減に年を重ねてこられて、安否確認の良い折ともなってきた様に思います(笑) ただ今回は、20年近く師事していた高橋万紗先生が療養中のため、そのお姿を会場で拝見することも叶わず、淋しい思いでおりました。

 せめて独吟はしっかりと・・・と力が入りすぎたせいか、突然頭の中がまっ白になって立ち往生寸前、すかさず中村先生の力強い声が飛んできて我に返り、あとは無事に謡い終えることができました。

 そのあとの打ち上げでは、楽しく飲んだり食べたりおしゃべりしたりで、すっかり肩の荷を下ろして身軽な心地で帰りました。

 最後まで見守って下さった中村先生はじめ諸先生方、本当にお世話になりました。ここに御礼申し上げます。
 
 又、あさお謡曲研究会の皆様、再入会して1年経ちました。これからもよろしくお願い致します。
 
 
        kamito.jpg

                                      上戸 優子
 今回の万葉会は 初めての経験でとても貴重な体験ができ 中村先生には大変感謝いたしております。
 
 まだ半年の未熟な生徒でありながら国立能楽堂で独吟をさせていただけたことが 私の周りのどなたにも仰天されましたけれども 無事なんとかできたことを心から喜んでおります。当日の本番を迎えるまでの緊張とプログラムに名前が掲載された時の感激を今でも思い起こされます。
 
 また「俊寛」を独吟される予定だった小川さんが直前に急逝されたことが とても深く悲しい思い出となりました。初心者にもにこやかに優しく接していただいていたので残念でなりません。
 
 これからは小川さんを偲びながら 様々な謡を楽しみ続けていきたいと強く願っております。おかげさまで2年目に入りましたが練習日が毎回とても楽しみとなっています。
 
 
                                                            田中 恭
 
                                                                                                      
初めて「区民まつり(サークル祭)」で連吟を謡いました。
      
                       

連吟 高砂2.jpg

 

今年の年初から 何か声を出すことで気分を高めたいと思って 麻生区民センターのサークル紹介掲示板を眺めておりましたら 、丁度 謡曲のお誘いがありましたので「これだっ!」と決めて見学をさせていただき参加を決めました。

能楽については何の知識もなく好きだった日本史で少しだけ能楽の存在を記憶しておりましたがセルリアンでの能楽を見た印象から 日本の文化の深さをもう少し味わいたいと願っていたこともきっかけでした。
実際に謡い方を覚え発声してみると 頭でわかっていてもなかなか難しいものだと感じております。基本をたのしく何度も繰り返しながら覚えていきたいものです。
熱心な中村先生はじめ多くの先輩方のご指導を受けながら終生 目標を高く持って励んでいければと切に願っております。本当に雰囲気の良いメンバーに恵まれたこの会との邂逅を喜んでおります。

田中 恭  (前列右から2番目が私です)

7月18日(土)その日は朝から今にも雨が降りそうな空模様だった。

20回目の参加となるサークル祭の7月開催は、私の記憶では初めてだと思う。

蒸し暑い夏日、着物に袴、立っているだけで汗が噴き出た。汗を拭いながら、誓願寺を無事に舞い終えたいと出番を待った。

 今まで阿漕、邯鄲、松虫などテンポの速い舞が多かったので、三番目物は苦手だった。

「歩幅が広い!」「それでは男の人の歩き方」などと師匠のご注意を受けながらの稽古だったが、地謡の皆様に支えられて気持ちよく舞い終えることができた。

誓願寺2.jpg

謡についてある方が、『西洋音楽に例えると、同じ三番目物でも、「井筒」がシャンソンなら、「誓願寺」は讃美歌である』と書いておられた。誓願寺は格調の高い荘厳な謡ということなのだろうか。私なりにしっとりと位をとり、美しく謡うように心がけた。

 サークル祭は終わったが、9月の万葉会に向けて稽古は続く。一層、練習を重ねて精進したいと思う

                                                                                                                                                          前田 明子


 

 4月25日、目黒喜多能楽堂に於いて第1回中村昌弘個人公演が華やかに開催されました。その興奮も覚めやらぬ翌々日の27日、新百合ヶ丘昭和音楽大学構内のリストランテ・イル・カンピエッロで盛大にお祝いの会が催されました。会はまた、昼の部と夕べの会の合同懇親会、新入会の方々の紹介、河野さんの高校進学祝いも兼ねて実施されました。当日はご都合で欠席された方もおりましたが、先生はじめ総勢26名の参加となりました。

 乾杯の後、中村先生より今回の公演にかけた心意気や裏話など独特の名調子でお話しいただきました。出席された皆様からは先生に対する熱い想いが語られ、又、飛び入りでシャンソン、ジャズ・ヴォーカル、民謡と多芸・多才ぶりが披露されるなど、話題が尽きず大変盛り上がった一時となりました。改めてあさお謡曲研究会の結束の強さと中村先生に指導を受ける喜びを感じました。これからもどうぞ宜しくお願い致します。

                                                (山崎日出子)

       P1020976.JPG

4月25日()、目黒喜多能楽堂において中村先生の第1回の個人公演が喜多能楽堂を満席にして華々しく開催されました。寡聞にして能楽堂が満席になるのを見たことがなく、その意味で非常に感動的でした。これは先生の何年にもわたる精力的な能楽普及活動と後援会の皆さんの絶大な支援活動の賜物と思われます。

 まづ先生の丁重且つ軽妙な挨拶のあと、解説の金子直樹さんから家元を始め金春流一門の重鎮の方々の手厚い応援、そして今回、中村先生が選ばれた「融」についてこのような会の場合、一般受けする演目が普通であるのに敢えてクツロギの小書き付きの「融」を演ずる中村先生の意欲を高く評価されました。

 最初に、目出度い時に演ぜられる「翁」を素謡で家元をシテとしてツレ、狂言をそれぞれ一門の方々が裃、袴の正装に威儀を正して厳粛に謡われました。

 次に一門の重鎮の方々の仕舞の最初に予定されていた中村先生の子供時代からの師匠であられる高橋万紗先生が入院中のため中村先生が仕舞「鵜ノ段」を演ぜられました。

 続く三番の仕舞はいずれも金春流の重鎮であられる本田光洋師、高橋 汎師、桜間金記師によって演ぜられその正確、重厚な仕舞は満席の皆さんを魅了されました。

 場面は大蔵流 狂言 「棒縛り」に移りその軽妙な発声、所作に満場、笑いに包まれました。いつもながら感心させられるのはその発声や所作が並々ならぬ修行の賜物と思われることです。

 最後にいよいよ中村先生のシテで「融」クツロギです。私は一昨年、約半年間、独吟「あれこそ夕(イウ)ざれば。~~跡をも見せず。なりにけり。」の部分を中村先生のご指導をいただき、不十分ながらなんとか終えたと思っていましたが実際の舞台を拝見し、特にロンギのところなど私の謡いの未熟さを思い知らされました。それはさておき「能を10倍楽しく観る講座」が15日に開かれそれを聞いていましたので非常に参考になりました。特に老人が汐を汲むところ、田子を置き捨てるところなどが印象に残りました。クツロギの小書きについてはお囃子の調子を変えると説明がありましたが、私が謡いだけで仕舞をやってなく、お囃子の拍子など無縁なので理解に苦しみました。それぞれ見所がありますが後シテの早舞の優美さが流石先生ならではだと感心しました。ただ中入りでのアイの口上が残念ながらちゃんと聞き取れず、惜しまれます。

 今回の能で大鼓の人間国宝、亀井忠雄師の音色には思わず背筋が凍りつくほど感動しました。中村先生のため出演頂いたことに感謝したいと思います。     

最後になりましたがワキ方 野口能弘師の確かな謡いには頭が下がります。いつも感じることですがワキ謡いの修行は並々ならぬものと推察しています。

かくして中村先生の第一回個人公演は大成功の裡に終わりました。第二回以降にも大いに期待しております。

 

夕べの会河野未有さんの本拠地 狛江能楽教室の発表会が、3月15日狛江市西河原公民館多目的ホールで開催され、幼稚園児~高校生の会員に混じって、中村先生の各稽古場から大人数人が客演参加、夕べの会からは原嶋、江藤、築野の3名が仕舞で出演しました。以下は今回がデビューの江藤さんの手記です。(築野俊雄)

昨年11月から夕べの会でお稽古を始めたばかりの初心者の私ですが、客演の1人として仕舞「七騎落」のキリで初舞台を踏ませていただくことになりました。ところが、開演直前にホールの立派な緞帳が故障。幕が上がらず舞台が使えなくなってしまいましたsign01 順番を入れ替えて、緞帳前のわずかなスペースで幼稚園から高校生まで連吟と居囃子をして回復を待ちましたが、まったく動きません。そこでホール前のロビーで松ではなく消火用栓を背景に、間近にぐるりとお客さまに囲まれて演じることになりました。

DSC_4800.JPG

DSC_4867.JPG

舞台裏に向かう扉が揚幕となり、一生懸命でかわいらしい子どもたちから、キャリアを積んだ大人まで次々と登場します。手の届くところにいらっしゃるお客様の反応が直に伝わって、まるで昔々村の広場で人々を集めて演じた猿楽一座にいるような、不思議な高揚した気分でした。
 前代未聞のアクシデントにも関わらず、先生方の対処も冷静かつ迅速でお見事。河野未有ちゃんに率いられた小さなお子さんたちも最後までお行儀よく、私までなぜか初舞台の緊張がとれて楽になってしまいました。舞台を続けようというみなさんの熱気のおかげかもしれません。初心者の悲しさで自分の出来はどうなのかまったくわかりませんが、一生忘れられない初舞台となりました。(江藤佳代)


 狛江能楽普及会のHPにも手に汗握る舞台裏の様子が。⇒こちらから

 
 
1月27日の1月最後のお稽古日の後、午後の会の新年会を開催しました。前回のお稽古の後、男性陣から〝新年会は無いの?〟との声があがり、急遽月内に開催することになりました。残念ながら1月に入会した2名は参加できませんでしたが、「夕べの会」のお稽古までの小一時間は先生にも参加して頂き、急な開催でしたが男女10名を超える賑やかな会になりました。
先生から普段聞けない貴重で興味深いお話しも有り、またベテランから昨年入会のメンバーまで、様々なキャリアのメンバーが参加したため、能の楽しさや奥深さを語り合う有意義な会になりました。
 
ここのところ男性の入会も増え、昨12月の忘年会といい、こんな機会も増えるような気が。
 

 なお、4月末には午後の会と夕べの会が合同で懇親会を開催することになっており、30名前後の賑やで楽しい交流になると、今から楽しみにしています。