《2015年》
7月18日(土)その日は朝から今にも雨が降りそうな空模様だった。
20回目の参加となるサークル祭の7月開催は、私の記憶では初めてだと思う。
蒸し暑い夏日、着物に袴、立っているだけで汗が噴き出た。汗を拭いながら、誓願寺を無事に舞い終えたいと出番を待った。
今まで阿漕、邯鄲、松虫などテンポの速い舞が多かったので、三番目物は苦手だった。
「歩幅が広い!」「それでは男の人の歩き方」などと師匠のご注意を受けながらの稽古だったが、地謡の皆様に支えられて気持ちよく舞い終えることができた。
謡についてある方が、『西洋音楽に例えると、同じ三番目物でも、「井筒」がシャンソンなら、「誓願寺」は讃美歌である』と書いておられた。誓願寺は格調の高い荘厳な謡ということなのだろうか。私なりにしっとりと位をとり、美しく謡うように心がけた。
サークル祭は終わったが、9月の万葉会に向けて稽古は続く。一層、練習を重ねて精進したいと思う
前田 明子
4月25日、目黒喜多能楽堂に於いて第1回中村昌弘個人公演が華やかに開催されました。その興奮も覚めやらぬ翌々日の27日、新百合ヶ丘昭和音楽大学構内のリストランテ・イル・カンピエッロで盛大にお祝いの会が催されました。会はまた、昼の部と夕べの会の合同懇親会、新入会の方々の紹介、河野さんの高校進学祝いも兼ねて実施されました。当日はご都合で欠席された方もおりましたが、先生はじめ総勢26名の参加となりました。
乾杯の後、中村先生より今回の公演にかけた心意気や裏話など独特の名調子でお話しいただきました。出席された皆様からは先生に対する熱い想いが語られ、又、飛び入りでシャンソン、ジャズ・ヴォーカル、民謡と多芸・多才ぶりが披露されるなど、話題が尽きず大変盛り上がった一時となりました。改めてあさお謡曲研究会の結束の強さと中村先生に指導を受ける喜びを感じました。これからもどうぞ宜しくお願い致します。
(山崎日出子)
4月25日(土)、目黒喜多能楽堂において中村先生の第1回の個人公演が喜多能楽堂を満席にして華々しく開催されました。寡聞にして能楽堂が満席になるのを見たことがなく、その意味で非常に感動的でした。これは先生の何年にもわたる精力的な能楽普及活動と後援会の皆さんの絶大な支援活動の賜物と思われます。
まづ先生の丁重且つ軽妙な挨拶のあと、解説の金子直樹さんから家元を始め金春流一門の重鎮の方々の手厚い応援、そして今回、中村先生が選ばれた「融」についてこのような会の場合、一般受けする演目が普通であるのに敢えてクツロギの小書き付きの「融」を演ずる中村先生の意欲を高く評価されました。
最初に、目出度い時に演ぜられる「翁」を素謡で家元をシテとしてツレ、狂言をそれぞれ一門の方々が裃、袴の正装に威儀を正して厳粛に謡われました。
次に一門の重鎮の方々の仕舞の最初に予定されていた中村先生の子供時代からの師匠であられる高橋万紗先生が入院中のため中村先生が仕舞「鵜ノ段」を演ぜられました。
続く三番の仕舞はいずれも金春流の重鎮であられる本田光洋師、高橋 汎師、桜間金記師によって演ぜられその正確、重厚な仕舞は満席の皆さんを魅了されました。
場面は大蔵流 狂言 「棒縛り」に移りその軽妙な発声、所作に満場、笑いに包まれました。いつもながら感心させられるのはその発声や所作が並々ならぬ修行の賜物と思われることです。
最後にいよいよ中村先生のシテで「融」クツロギです。私は一昨年、約半年間、独吟「あれこそ夕(イウ)ざれば。~~跡をも見せず。なりにけり。」の部分を中村先生のご指導をいただき、不十分ながらなんとか終えたと思っていましたが実際の舞台を拝見し、特にロンギのところなど私の謡いの未熟さを思い知らされました。それはさておき「能を10倍楽しく観る講座」が15日に開かれそれを聞いていましたので非常に参考になりました。特に老人が汐を汲むところ、田子を置き捨てるところなどが印象に残りました。クツロギの小書きについてはお囃子の調子を変えると説明がありましたが、私が謡いだけで仕舞をやってなく、お囃子の拍子など無縁なので理解に苦しみました。それぞれ見所がありますが後シテの早舞の優美さが流石先生ならではだと感心しました。ただ中入りでのアイの口上が残念ながらちゃんと聞き取れず、惜しまれます。
今回の能で大鼓の人間国宝、亀井忠雄師の音色には思わず背筋が凍りつくほど感動しました。中村先生のため出演頂いたことに感謝したいと思います。
最後になりましたがワキ方 野口能弘師の確かな謡いには頭が下がります。いつも感じることですがワキ謡いの修行は並々ならぬものと推察しています。
かくして中村先生の第一回個人公演は大成功の裡に終わりました。第二回以降にも大いに期待しております。
狛江能楽普及会のHPにも手に汗握る舞台裏の様子が。⇒こちらから
なお、4月末には午後の会と夕べの会が合同で懇親会を開催することになっており、30名前後の賑やで楽しい交流になると、今から楽しみにしています。