《2015年》

 高橋万紗先生、中村昌弘先生門下の発表会である万葉会が、国立能楽堂の本舞台で開催されました。

 出演した門下生は今回も50人を超え、盛大な会になりました。当教室からの出演者は舞囃子に6名、仕舞に8名、独吟に7名、さらにこの9月に新しく仲間になった2名の内1名が連吟に加わり、合計22名と多くのメンバーが出演しました。舞囃子を舞った会員のうち、半数の3名が初めての舞囃子だったのでさぞや緊張するのかと思いましたが、全員落ち着いて見事な舞台でした。また前回の万葉会以降に入会した会員も多く、緊張の中でも初舞台を楽しんだようです。番外仕舞として中村先生の「巻絹キリ」の見事な舞いで締めとなりました。

 ただ残念だったのは、当教室の重鎮で今回も独吟を予定していた男性会員が1カ月前に急逝されたことです。直前まで元気にお稽古され、出演を楽しみにされていたので、残念で寂しい限りでした。会の最後には、月に昇っていく融の大臣になぞらえ、「融」が手向けられました。

 久々の本舞台ということもあり、会員の家族やご友人も多く来場して頂きました。能を初めて観た方から「客席も一体となった能舞台の緊張感など、素晴らしい経験をさせてもらった」との感想も頂きました。
 
 長時間にわたり、ご覧いただき、ありがとうございました。

麻生市民館サークル連絡会、川崎市教育委員会麻生市民館が主催し、あさお謡曲研究会が企画運営する公開講座として能楽入門講座を行いました。この講座は今年で4回目になります。講師は従来通り、シテ方金春流能楽師の中村昌弘先生にお願いしました。

650年の歴史を持つ伝統芸能である能楽を楽しく学んでいただき、また所作や謡の体験に加え、能面や装束にも触れて頂いて身近なものに感じて頂きたいとの趣旨で行いました。受講の方々がこれを機会に能舞台に親しんでいただき、ひいては私たちの仲間としてお稽古にも参加して頂ければ幸いです。

当初、定員を20名として募集を行いましたが、多くの応募を頂いたため、運営や所作の体験がなんとか可能とのことで、応募して頂いた26名全員にご参加頂くことにしました。この中には、昨年定員を超えたためにお断りした方々も含まれています。

講座の内容は次の通りです。

 

1日目(視聴覚室)

まず室町から戦国、江戸、近代の歴史に沿って、能楽の大きな流れを解説。歴史的背景やその裏に秘められた逸話も。また能の隆盛や危機の歴史も興味ある話題でした。次に3つの演目の内、多数決で〝邯鄲〟を映写。能舞台のつくり、能の見方、仕舞の見所、シテ、ワキ、地謡、囃子、後見等々の役割、物語の流れなどを解説。

受講の方々からはたくさんの質問があり、活発な質疑となりました。

 

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2日目(和室)

まず高砂の有名な〝たかさごやー〟の詞章の部分を記号の意味を含めて解説し、同時に縁語、掛詞などの豊かな日本語の特徴的な表現や、能の世界から出て現在使われている表現にも理解が深まりました。先生の指導によって実際に謡いの体験も行い、皆さん大きな声で堂々と謡い切りました。

次に楽器についての説明のあと、能管の洋楽と異なる音階を聞いて頂くことも。

所作ではすり足に始まって、構え、扇の扱いなどを体験。能のいくつかの所作の意味なども実演入りで解説。それにしても目を閉じてのすり足には苦戦。初心者が多かった会員にとっても新鮮な内容が有り、廊下で受講者と同じ動きを。

会員の一人が彫った10点の能面を展示、解説。最後に全員がその面を実際に付けて視野の狭さや能楽師の感触をチラリと実感。

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3日目(和室)

先ず前回の謡の復習からスタート。

その後、能の演目の種類の説明などに始まり、913日に矢来能楽堂で行われる金春会定期能を取り上げ、プログラムである「番組」の見方の説明の後、先生がシテを務める「枕慈童」を題材に能のストーリーの流れや言葉の面白さ、面、装束、所作、作り物などについて解説。また、装束などのメンテナンスのための必須道具である〝裁縫道具〟も見せてもらうことに。そして650年前の物語が現在にも通じる内容を含んでいることの指摘も新鮮でした。

この日も「枕慈童」にからみ、会員の一人が打った幼い「童子」の能面を紹介し、更に頭に着ける黒頭(くろがしら)も見て頂いた。材料は〝馬の毛!〟と受講生が一発で回答。

最後に先生が高砂のキリを舞い、スタッフとして参加していた会員全員で地謡をつとめました。何せ突然のことでもあり、口パクも有ったと聞いています。

受講者の方々にはこの先生の舞を大変喜んでいただきました。

 

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懇親会

3日目の講座の後、場所を変えて質疑と懇親の機会を設けました。受講された方の半数近くと会員を合わせて約20名の大変盛大な会になりました。先生から講座の内容から出題が有り、受講者の好成績に会員が冷や汗。質疑ではかなり専門的なものも有り、受講者のレベルの高さに驚かされました。

なお、懇親会に参加されなかった方も含めて多くの方からお稽古の見学希望が有り、この方々の中から新しい仲間が増えればよいと、会員も期待を持ってのお開きとなりました。

 

今年は大分暑い時期になりましたが、7月18日(土)にサークル祭に参加しました。今回は、〝観て、聞いて、謡ってみよう〟と題した「能楽体験講座」としました。
〝観て、聞いて〟の言葉通り、会員発表の演目を多くし、会員全員の日ごろの成果を披露させていただきました。ベテランの女性主体の連吟「半蔀」に始まり、初心者とベテランの仕舞を各2演目、その間連吟「清経」もあり、最後は男性陣全員による「高砂」の連吟で締めました。
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今年は初参加の会員も多く、色々と感慨深いものが有った様です。〝春夏秋冬〟に会員の声を載せてあります。併せてご覧ください(仕舞一番と高砂の写真は〝春夏秋冬〟に掲載しています)
    
  
その後、指導頂いている、シテ方金春流能楽師の中村昌弘先生の講座に入りました。
能楽の発祥、歴史、能面の説明など、分かりやすい説明で来場された方も大変満足して頂いたようです。〝面〟は昨年に続いて会員の一人が打った、新作を含む10点を展示し、そのうちの一つを実際につけて頂きました。〝面〟の扱い、視野の狭さなど、強い印象を受けられたようです。
 
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先生から面を打った会員への問いかけが有り、これも普段聞けない面打ちの細部の説明が有りました。
 
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   講座の最後には謡指導の後、皆さんに高砂の千秋楽を謡って頂き、和室内に朗々たる声が響き渡りました。
最後の最後には先生の高砂の仕舞があり、皆さま満足いただけたと思います。
 
 
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たくさんの方々に来場いただき、大変ありがとうございました。