能楽入門講座(8月26日、9月2日、9月9日)

麻生市民館サークル連絡会、川崎市教育委員会麻生市民館が主催し、あさお謡曲研究会が企画運営する公開講座として能楽入門講座を行いました。この講座は今年で4回目になります。講師は従来通り、シテ方金春流能楽師の中村昌弘先生にお願いしました。

650年の歴史を持つ伝統芸能である能楽を楽しく学んでいただき、また所作や謡の体験に加え、能面や装束にも触れて頂いて身近なものに感じて頂きたいとの趣旨で行いました。受講の方々がこれを機会に能舞台に親しんでいただき、ひいては私たちの仲間としてお稽古にも参加して頂ければ幸いです。

当初、定員を20名として募集を行いましたが、多くの応募を頂いたため、運営や所作の体験がなんとか可能とのことで、応募して頂いた26名全員にご参加頂くことにしました。この中には、昨年定員を超えたためにお断りした方々も含まれています。

講座の内容は次の通りです。

 

1日目(視聴覚室)

まず室町から戦国、江戸、近代の歴史に沿って、能楽の大きな流れを解説。歴史的背景やその裏に秘められた逸話も。また能の隆盛や危機の歴史も興味ある話題でした。次に3つの演目の内、多数決で〝邯鄲〟を映写。能舞台のつくり、能の見方、仕舞の見所、シテ、ワキ、地謡、囃子、後見等々の役割、物語の流れなどを解説。

受講の方々からはたくさんの質問があり、活発な質疑となりました。

 

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2日目(和室)

まず高砂の有名な〝たかさごやー〟の詞章の部分を記号の意味を含めて解説し、同時に縁語、掛詞などの豊かな日本語の特徴的な表現や、能の世界から出て現在使われている表現にも理解が深まりました。先生の指導によって実際に謡いの体験も行い、皆さん大きな声で堂々と謡い切りました。

次に楽器についての説明のあと、能管の洋楽と異なる音階を聞いて頂くことも。

所作ではすり足に始まって、構え、扇の扱いなどを体験。能のいくつかの所作の意味なども実演入りで解説。それにしても目を閉じてのすり足には苦戦。初心者が多かった会員にとっても新鮮な内容が有り、廊下で受講者と同じ動きを。

会員の一人が彫った10点の能面を展示、解説。最後に全員がその面を実際に付けて視野の狭さや能楽師の感触をチラリと実感。

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3日目(和室)

先ず前回の謡の復習からスタート。

その後、能の演目の種類の説明などに始まり、913日に矢来能楽堂で行われる金春会定期能を取り上げ、プログラムである「番組」の見方の説明の後、先生がシテを務める「枕慈童」を題材に能のストーリーの流れや言葉の面白さ、面、装束、所作、作り物などについて解説。また、装束などのメンテナンスのための必須道具である〝裁縫道具〟も見せてもらうことに。そして650年前の物語が現在にも通じる内容を含んでいることの指摘も新鮮でした。

この日も「枕慈童」にからみ、会員の一人が打った幼い「童子」の能面を紹介し、更に頭に着ける黒頭(くろがしら)も見て頂いた。材料は〝馬の毛!〟と受講生が一発で回答。

最後に先生が高砂のキリを舞い、スタッフとして参加していた会員全員で地謡をつとめました。何せ突然のことでもあり、口パクも有ったと聞いています。

受講者の方々にはこの先生の舞を大変喜んでいただきました。

 

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懇親会

3日目の講座の後、場所を変えて質疑と懇親の機会を設けました。受講された方の半数近くと会員を合わせて約20名の大変盛大な会になりました。先生から講座の内容から出題が有り、受講者の好成績に会員が冷や汗。質疑ではかなり専門的なものも有り、受講者のレベルの高さに驚かされました。

なお、懇親会に参加されなかった方も含めて多くの方からお稽古の見学希望が有り、この方々の中から新しい仲間が増えればよいと、会員も期待を持ってのお開きとなりました。