麻生区市民健康の森 ― 麻生鳥のさえずり公園 ―
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会報10-1 健康の森とその周辺の植生調査が実施される

副会長 長澤 [平成17年(2005)09月30日発行会報第10号から]

img492「麻生区市民健康の森」の西側に「多摩美ふれあいの森」、東側に「多摩特別緑地保全地区こもれびの森」があり、3ヶ所が一 体となって里山風公園を形成している。

私たちは活動を続けている中で、この森 の植生はどのようになっているのか、日頃から気にしているところであった。そうし た折、かわさき自然調査団が「市民が考える植生管理」というワークショップを開催してくれることとなり、植生調査が実現した。

1.現地調査の実施

① 調査団体:特定非営利活動法人 かわさ き自然調査団

② 調査期間:平成17年度中

③ 調査内容:植物(樹木、草)、鳥、昆虫

④ その他:調査にあたっては各森の会員が 協力。調査は、第1回4月 18 日、第2回5 月 17 日、第3回9月 13 日に実施された。

2.報告会の開催―植生調査の結果

平成 17 年9月 22 日「川崎市青少年科学 館」で、植生調査結果の報告と参加者によ るグループ別ワークショップが行われた。

① 開催日:平成 17 年9月 22 日 13:00~ 15:30

② 場 所:青少年科学館2階学習室

③ 参加者:総数 18 名(調査団5名、北部 公園事務所3名を含む)

④ 報 告:かわさき自然調査団の岩田事務 局長より挨拶と経過報告があり、続いて、植生が専門の藤間氏より、「第4回市民が考える植生管理“麻生区市民健康の森とそ の周辺を考える”」をもとに植生調査報告がなされた。 会議資料は、総ページ22 ペ ージで「緑地保全こもれびの森4ヶ所」「ふ れあいの森と市民健康の森6ヶ所」の調査 報告となっている。

3.こもれびの森、ふれあいの森の報告

(1) こもれびの森(抜粋)

A地点は、下草刈り、間伐により特徴的 な種が発生。やや乾燥地を考慮した植栽が 良いだろう。C地点は、竹林に下草がない。 土壌表面改良を。D地点は、市内でも3番 目位に多いほど植物数が豊か、など。

(2) ふれあいの森(抜粋)

被度は高木層 90%、亜高木層 30%、低木 層 50%と豊かな森であるが、常緑が多く森 が暗い。山桜に倒木の危険がある。 西斜面は表土の浸食が進み、樹木の倒壊 が危惧される。たんぽぽ園の復活は難しい。園路はローム層が露出し滑りやすい。

4.健康の森(鳥のさえずり公園)の報告

(1)植生の特徴 ・落葉樹の苗は混植され、密度もかなり高 く植栽方法は理想的と判断される。 ・草地に植栽した後、施肥もされたもよう で、畑地の雑草が地表を覆い、地表の乾燥 を防いでいる。 ・下草は年2回以上実施されており、現状 が維持される。 ・草本層には落葉樹林の種が次第に侵入し てきている。 植栽樹の伸長は正常で枝張りも大大きく樹 勢はきわめて良好な状態であった。

(2)今後の植生の推移と選択肢

下刈りは植栽後5年間、年2回程度実施 されればよい。下草の畑地雑草は次第に衰 え、落葉樹が増加するとみられる。植栽し た樹木がさらに成長すると、次第に樹木間 の競争が起きる。そのときの選択肢として、

① 成長に差が出てきたときに劣勢な樹木 を間引きして伐採する。この方法はスギや ヒノキの植栽地で実施されている方法で高 木だけが育つ。

② 劣勢になった樹木の台切りをして萌芽 を育てる。高木と亜高木ないしは低木が同 時に育つ。

③ 自然競争に任せて、樹木の伐採や間伐は しない。

④ 下草刈りは年1回程度、冬に行う。

⑤ 樹木の下で種々の活動ができるよう、高 木だけを伸ばし、その下は草原状態にする。 考察として、草本層では、畑地草系25種、 山野草系 17 種でまだまだ畑地草が多い。今 後は山野草系を増やす方向にしたらどうか。

<昆 虫>

目視法で行った。生田緑地と良 く似ている。オオミドリシジミ、ミズイロオナガシジミなど多く、ハナムグリが非常に 多い。黒川、柿生と同等であった。

<鳥>

目視法で行った。たくさん鳥のさえずりが聞こえ、生田緑地と同等ではないだ ろうか。野鳥類は、森と餌がないとこない、 草地を刈らずに残すとか落葉を残すとかが必要。

5.ワークショップでの論議

こもれびの森グループと、市民健康の 森・ふれあいの森グループとに別れ、調査 結果を踏まえ今後森をどのように管理育成 すれば良いか、意見交換した。 市民健康の 森班は8名で、岩田臣生氏の指導で熱心な 討論がなされた。おもな論点は、

① 北側斜面の植栽は、混植よりも常緑樹林 を心がけてきたがどうか。外周道路との関 係で、暗い林となるが良いのでは。

② 西側の植生は今後どのように管理すべ きか、倒壊しそうな山桜を含め熟慮が必要。

③ 広場の植樹下草はどのように管理すれ ばよいか、傾斜地下までの刈込みは中止し て、一部の地帯を残してはどうか。

④ ウグイスのお宿の篠竹の更新はどうす るか。一部分をテスト伐採してはどうか、 いや今のまま保持したほうがよく枯れるこ とはない、など意見が白熱した。

等々討論したが時間切れとなり再度ワー クショップを開くことになった。時間の制 約もあり十分ではなかったものの、真剣な 意見交換がなされ、大変有意義であった。

※ 第2回報告会(まとめの会)

11 月 15 日(火) 午前 10 時より、青少年科学館 (生 田緑地内)で開催。森の植生管理をどう進 めるかを考えていくうえで貴重な機会です ので、多くの方々の参加をお願い致します。 なお、調査結果の資料閲覧や報告会の内容 などお問合せは、幹事までお願します。

 

 

 

 

 

 

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