第76回カルチャーセミナ―「早野上ノ原遺跡の発掘調査について」開催さる
9月22日に、川崎市教育委員会文化財課の栗田一生氏を講師にお招きして「上ノ原遺跡」の発掘調査の現状をお話しいただきました。
発掘は2007年から3回に渡って行われてきましたが、今年度、第4次の発掘が始まりました。今回は~川崎市内有数の複合遺跡を掘る~と銘打ち、その中間報告を含めて全体像を改めて俯瞰するのが狙いでしたが、残念ながらこの9月の長雨の影響で発掘がほとんど進んでいないとのことで、過去3回のまとめの形になりました。
要点は①旧石器時代から江戸時代までの遺構・遺物が確認できる複合遺跡であることが判明②縄文時代、古墳時代、中世、近世の墓と考えられる遺構が検出③川崎市内最古級(約3万年前)の遺物が発見④縄文時代の環状集落が発見⑤川崎市内でも最奥部に位置する弥生時代の集落跡が発見⑥早野上ノ原古墳が発見⑦奈良時代の住居から瓦が出土⑧平安時代の集落や道?が確認⑨中世から近世の土地利用が推測、と、非常に興味深い内容でした。少なくとも旧石器時代から近世まで連綿と続いてきた遺跡が浮かび上がってきているわけですが、当時は極めて山深いところだったと思われ、他の遺跡との関連性を含めどのような生活を送っていたのか、さらに先のお話を伺いたいところです。
第4次発掘調査の見学会が下記で予定されていますので、参加されてはいかがでしょうか。
掲載日:2018年9月29日