<1月30日 初日>
今年で6回目の公開講座、いまだ雪の残る寒さ厳しい夜の講座となりました。
進行役の「本物を味わって欲しいです」の導入で若さとユーモアあふれるシテ方金春流能楽師中村昌弘先生が凛々しい袴姿で登場。能楽の歴史から、能の役職(シテ方、ワキ方、囃子方、狂言方)を解説。さらには能楽堂、能舞台の説明までを丁寧に説明されました。
そして能の流れを知ってもらうために映像を流しました。3枚のDVDの中からほぼ全員の希望により「船弁慶」が選ばれました。
前シテ「静御前」、後シテ「平知盛」役を中村先生が、子方「源義経」役をご子息の千紘君が演じた舞台です。・・・父子の演技をほほえましく鑑賞しました。
「能会では舞台上の人物の動きが少なく長時間の鑑賞中に居眠りが出ることがありますが、その世界に入り込み、感じ取ってもらいたい。
お囃子(楽器)も洋楽のように指揮をする人はいないが、演者全て気持ちを揃えて演じている。舞台上の何も無いところから始まり、何も無いところで終わるのが能楽です。」
最後に平和の象徴「高砂」を先生の指導で稽古、「耳で聴いて謡う」、「大声で謡う」。最終日にはグループごとに発表し、優勝チームには賞品が出るとか出ないとか・・・?
<2月6日 中日>
赤、青、黄色、緑、4つのグループ分けで着座、中村先生と「高砂」の復習。
「すごいですね~、やる気満々ですね~」先生の励ましの声に乗せられ、「高砂や~」
能楽師は170曲ほどの曲を覚えるのだが口をついて出るまで“気合”で憶える。コツはどこが分からないか自分で知ること。わが身反省!世阿弥の「初心忘れるべからず」
面作りをされた会員の小林さんが紹介される。
「能楽師から見ると能面ほど表情豊かなものはない」と先生。小面(コオモテ)を手にとられ、上を向くと「テル」、下を向くと「クモル」。無表情といわれ焦点が定まらぬような表情の面(オモテ)から演技者によって表情が作られていく不思議さ
最年少の小学生の受講者が面の扱い方を体験しました。
面をつけ、10Kg以上の衣装を着けて、舞い謡う大変さはいかばかりでしょう。
所作体験
「構エ」(カマエ) 姿勢をただし、ひざを曲げ、少し前傾、下を向かず正面を見る。足の運び「スリ足」各グループごとに実演、「序」「破」「急」。ゆっくりからどんどん速くスリ足で歩く。
泣く型「シオリ」遠くを見る「月の扇」指しまわし等。型の説明
全員に扇が配られ手、扇の持ち方、開き方、閉じ方の実演。
流派で違う扇の種類などの説明がありました
ヒラク型、指す型等の型の組み合わせで、いかに美しい流れになるか
能は深層筋を使い、年をとっても元気でいられるそうですが、今注目のインナーマッスルトレーニング?
発表会の所作の実演
切戸口から順に影の足から舞台に出る
膝頭を板目にあわせて着座
扇は左の腰から下から右手で取り右横におく
全員着座したらパートリーダー地頭が「扇前へ」
一呼吸して気持ちをあわせて謡いだす
謡い終わって扇を前に置き右腰の横に置いてから腰に差し退席
最後はチーム別に舞台登場。全員堂々とした素晴らしい地謡になりました。
<2月13日 最終日>
ミニ発表会、「高砂」を舞台で謡ってみよう
所作の美しさ、声の大きさ、そろっているかなどを基準に審査は先生とあさお謡曲研究会の代表2名。青組が優勝。グループの記念撮影
仕舞「嵐山」の実演。シテ中村先生。地謡はあさお謡曲研究会の会員
質問コーナーでは、声の出し方から扇の種類、衣装、面の扱い方まで多岐にわたる疑問が投げかけられました。はては「能楽師の肌は概してきれい。どうして?」という質問まで。
能楽は、仕舞、舞囃子、能と自分のレベルに合ったものを選ぶことができ、老若男女、幼いものから年寄りまで楽しめる生涯学習です
今回の体験教室からは5名の方々が新しく私たちの仲間になりました。