7月20日夜、毎年夏に開催され、今年で3回目となる特別講座が国立能楽堂大講義室で開かれました。
今年のテーマは、「井筒」。主催・進行役の中村先生のブログから引用させていただくと、「最も能らしい能で、能楽師であればかならずここを目指す大曲」とのことです。
毎年のことながら、世代を同じくする四流の個性豊かな講師の先生方の丁々発止の話術に引き込まれ、あっという間の2時間でした。内容は濃くて面白くて、とても書ききれませんが、写真を交えてほんの少しだけ。
「井筒」ではじっと座っている時間が長くて辛い、ということについて、武田宗典師が「地謡が謡っている部分を自分が語っている意識で」演じたので「そこまで辛くなかった」とおっしゃったのが印象的でした。
座り方はそれぞれ実演を交えて説明してくださいました。左足を立てる、右足を立てる、観世流独特のなかなか難儀そうな座り方にも深い意味があるようです。足つながりで、切り戸口を出る足、作り物に上がるときの足は左から?右から?と話は発展しましたが、大島輝久師の、どちらの足と固定的に決まってはいなくて「足の内側は見せない」ようにする、というのは、なるほどと思いました。
続いて、作り物を実際に作ってみる、という試みです。4本の脚を1本づつ担当します。ちょっとやりにくそうです。出来上がりをながめて、高橋憲正師の「これはすぐやり直しさせる」、というのには大爆笑。ごもっともです。
さて、何とか出来上がって、井の内を見るところです。おや、ちょっと違いますね。観世流だけ、すすきの位置が違うんだそうです。
いろいろあって、締めは、四流共演にして競演!の謡。屏風の後ろから聞こえる謡い継ぎの初同からロンギ、う~ん、贅沢ですね。さらには、会場のリクエストに応えて「さながら見みえし」のひと節を順に謡ってくださいました。
最後には撮影会まで。ありがとうございました。そして、お疲れ様でした。
来年も是非開催してください!!