般若    2015年2月

 

般若.jpg

 

般 若(はんにゃ)
「般若」は室町時代の面打ち般若坊の創作になるところから、この名がつけられたともいわれる。
女の嫉妬や恨み・悲しみや怒りを一面の中に凝縮した凄しい形相の鬼面である。頭に二本の角を生やし口を広く裂いて金属を被せた歯と牙をあらわにし、眼に大きな金環(かなわ)を嵌(は)め、額中央から両脇に分けた髪に乱れた毛を数本垂らし、眉墨を刷いているところが女性であることを示している。赤般若と白般若があり、赤般若は「道成寺(どうじょうじ)」、白般若は「葵上(あおいのうえ)」などに使われる。



面打ちを始めると誰もが早く般若を彫ってみたいと思うようです、私もそうでした。でも最初から般若は彫らせてはもらえません。私の所属する工房では、小面・翁・増・中将・そして般若に進みます。私は5年目に般若に挑戦しました。この般若は白・赤2面製作した内の赤般若です。
角は別材で作り頭部に取り付けたり(はめ込む)、眼球と上前歯には金属を被せるなど今までの面とは違う技術や工程が加わります。眼球や歯の成型のために専用の道具が必要になり、これらも全て自分でつくります。道具造りや工具探しも結構楽しいものです。
面本体に「角」を取り付ける際に角の太さや湾曲の度合い・先端の向き・前傾・左右の開き具合など取り付け方によって般若の怖さ・凄味或いは迫力が大きく変わることも指導して頂きました。