「舞囃子、松虫」を舞い終えて

 万葉会が終わり、安堵感と少しばかりの達成感にひとり浸っている。

 2年に1度の発表会、これが最後かもしれないという思いで立つ舞台、緊張が走る。上手に舞っていいところを見せようなどと思い上がると必ず失敗する。

 今回は、舞囃子松虫、男舞は速いテンポで勇壮に颯爽と舞うと言われるが、齢を重ねた者にとっては、なかなか難しい。仕舞は見せ場も多く爽快で好きな舞の一つである。「松虫」の解釈にはいろいろある様だが青年の厚い友情、すだく虫の音に誘われ草原に消えた二人。何とも言えぬ不気味さと荒涼感が伝わってくる。現代人には想像し難いテーマかもしれないがあまり考えずに舞うことにした。

 立ち上がり、緊張で足が震え最初の一歩が出ない。後半の謡「面白や…」の声が掠れる。などなど反省点はあるが5回目の舞囃子、兎にも角にも楽しく舞い終えることができた。18年間続けてきて「よかった」と思える瞬間だった。

 最後に、ご指導いただいた先生方に御礼申し上げると共に、今後も精進していきたいと思う。
 
 
                           前田 明子