2010年9月15日 中村先生の邯鄲を愉しむ

 

   

 公演前夜「邯鄲」の粗筋(梗概)にざっと目を通してあまり複雑ではないなと浅読みしたのが間違いの元、のっけから大屋台の作物が脇座に運ばれ、興味深々、すぐに惹き込まれた。

中国の故事に題材をとった能は「猩々」、「鶴亀」、「芭蕉」など数知れないが「邯鄲」もその一つ、粗筋は略すとして邯鄲の枕、眠りにおちて宮殿での華やかな生活、夢から覚めたその落差、、賢明にも悟りを得るそれらが先生の類稀な舞と謡いで素晴らしい舞台を作り上げた。

 私など何にもわからず、あんな衣装を着けて上手く横になれるものだ、作り物の床の上で上手に舞えるものだなとハラハラしながら感心して拝見していた。終わった時の拍手の大きさは今まで聞いたことがない。最後に先生が解説で書かれている何かが悟れるよう、稽古に励まれたと思われるが何を悟られたかお聞きしてみたい。      (小川 9・16)