伝統芸能(能楽・謡曲・謡・仕舞)

 

能楽、能、謡曲,謡、仕舞、舞囃子とは;


● 能楽とは能と狂言を含む日本の誇る伝統舞台芸能で,ユネスコ世界無形文化遺産に登録されています。能楽の呼称が一般に用いられる様になったのは明治以降です。


● 能は世界で最も古い舞台歌劇で日本版オペラです。室町時代・将軍足利義満の絶大な支援を受け、観阿弥、世阿弥父子によって、申楽(猿楽)から脱皮し、仏教思想を基盤にした精神性の高い、幽玄美を追求する舞台歌劇へ発展を遂げました。650年を経た現在も、舞台・台本・能面・装束・楽器・演出・作曲・振り付け・詞章の発声・発音など世阿弥の創出したものの多くがそのまま受継がれてきています。


オペラとの対比;ソロはシテとワキ、コーラスは地謡、前,後列各4人、通常8人、オーケストラは囃子と呼ばれ、楽器は笛(能管)(ふえ)、小鼓(こつづみ)、大鼓(おおつづみ)、太鼓(たいこ)の各1人計4人が揃う場合が最多(但し翁を除く)です。

オペラは西暦1600年頃イタリアで富豪・貴族のサロンで始まりました。能は足利将軍の絶大な庇護のもと上流社会で嗜まれ隆盛を極めました。徳川幕府は能を武家式楽と定め、接待・饗応・儀式の公式芸能にしました。


ストーリーはオペラがギリシャ悲劇を中心にしたものですし、また、イギリスのシェークピアに代表される舞台劇も悲劇が中心です。能は主人公(シテ)の生涯は悲劇で終わりますが、生前の罪の報いで成仏できず亡霊として現世に現れ僧侶の念仏により成仏が叶い、魂が救済されるハッピー・エンドのものが多い。


● 謡曲とは能の詞章をいいます。また謡と同義でも使われます。


● 謡(うたい)とは能の声楽部分を指し、シテやワキ、地謡といった役割に分かれて謡います。


● 謡本は謡の詞章(セリフ)と、謡うための節が書かれているほか、配役や装束付なども記載されている、いわば能の台本です。


● 仕舞とは、能装束を着ずに紋付袴姿などで、能のハイライトシーンを地謡のみで舞うことです。これに更に囃子も加わったものが舞囃子です。

 

さらに詳しくはこちらにさまざまな文献が紹介されています。ご参照ください。